吉沢亮主演の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほかにて放送)で一橋慶喜(のちの徳川第15代将軍・徳川慶喜)の側近として、大いなる活躍を見せた、堤真一ふんする平岡円四郎。30日に放送された第16回「恩人暗殺」では円四郎が幕末の混とんとした時代に翻弄され、悲劇に見舞われる。とりわけ草なぎ剛演じる慶喜との深い絆を感じさせるシーンは胸を熱くさせられるが、この回の演出を担当した村橋直樹が、撮影の裏側を語った(※ネタバレあり。16回の詳細に触れています)
円四郎は、旗本の息子でありながらもふがいない日々を送っていたところ、ひょんなことから慶喜の小姓となり、その人当たりの良さと柔軟さで慶喜の信頼を得て、側近のなかでも筆頭クラスの用人にまで出世。さらに吉沢亮演じる主人公・渋沢栄一を、血洗島村の百姓から一橋家の家臣として登用。本来、交わることのないはずの栄一と慶喜の接点を作ったという意味でも、円四郎がどれだけ重要な人物であるかがわかる。
順風満帆の人生かと思われた円四郎だが、第16回では攘夷派の襲撃に遭い、あえなく落命してしまう。村橋は「前半戦を引っ張ってくれた円四郎」と情緒たっぷりに話すと、円四郎を演じた堤とは「円四郎にとっては予期せぬ出来事。人生最高のときに悲劇が襲ったということを意識しましょう」と話したという。実際、円四郎が倒れたあとの表情も、絶望ではなく未来を意識した。「円四郎は天に向かって手を伸ばします。それは自分を含めて慶喜の未来を想起させたかったんです」と演出意図を語る。また、最後に円四郎の妻であるやす(木村佳乃)の名をつぶやくシーンについて「大森美香さんらしい脚本。円四郎にとって、やすという存在も未来に通じるものだったんだと思います」と説明した。
そんな円四郎の悲劇を知った慶喜が顔色を変えて、円四郎の側に駆け寄るシーンも、非常に印象的だ。茫然とした慶喜は顔を歪ませると、雨が降りしきるなか円四郎の亡骸に寄り添う。村橋いわく、このシーンでは「脚本には『雨が降りそうな不穏な』と書いてあったのですが、あえて雨を降らした」とのこと。
その理由について村橋は、「慶喜の頬を涙が伝うシーンなので、雨を降らせない方が効果的なのかも……という思いもあったのですが、そういった涙や嗚咽といった形ではない部分の草なぎさんのお芝居を見ていただきたいという思いがあり、あえて雨を降らしたんです」と語る。
草なぎとは本シーンについて事前に一切打ち合わせなどはしていないそうで「他の演出家もそうだと思いますが、草なぎさんには、台本の意図やこちらの思いはあえてぶつけないようにしているんです」と、草なぎ自身が内からにじませる感情表現に全幅の信頼を置いていることを明かす。実際に出来上がった円四郎との別れのシーンを観た村橋は「草なぎさんの技術を超えた芝居が観られると思います。想像以上のものができました」と胸を張っていた。(取材・文:磯部正和)
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