「本日、鳥取砂丘から出土したものです」。鳥取砂丘ビジターセンターが2月16日、古い「ファンタグレープ」の空き缶を発見。Twitterでいつの時代のデザインか情報を募集したところ、とてもレアなものだったことが判明しました。ここまで形を保ったまま出てくるとは……! ねとらぼ編集部ではセンターの発見者に話を聞くことができました。
同センターが1970年代の缶ではないかと、ある程度のあたりをつけつつ情報提供を呼びかけたところ、デザインにあるのは「1955年〜1970年のロゴ」であり、「初期の缶タイプのファンタ」「長野〜西日本限定?」といった情報が次々に寄せられました。
さらにファンタの公式アカウント(@Fanta_Japan)も反応。「これは1968〜1974年に発売されたファンタグレープ…!」と、約7年の間だけ製造されていた缶のデザインだったことが判明したのでした。「なかなかお目にかかれない、とても貴重なものです!」と公式も興奮しているのが伝わってくる!
Twitterでは「子どもの頃…70年代前半の夏休み、長野の親戚の家近くの自販機でこのデザインを見つけてお土産に買った覚えがあります」と懐かしむコメントや、「太めの缶は、西日本ぐらいでの販売でした。関東では細い缶しかなく、修学旅行で京都へ行った時に、太い缶が珍しかったです」と、地域によって缶の形に違いがあったことなど、ファンタに関するさまざまな知識や思い出話が寄せられています。
鳥取砂丘ビジターセンターは補足として、「観光地としての鳥取砂丘になった後のモノ」だと時代背景も説明。その頃から50年近く、ほとんど錆びずに砂に埋まっていたと考えるとすごい……。
鳥取砂丘ビジターセンター・ジオパークガイドの石川瑛代(いしかわ あきよ)さんに詳しい話を伺うと、今回の「ファンタグレープ」の空き缶は、いつものように現在の砂丘の様子を確認しているときに、馬の背(※真下から眺めると標高46メートルにもなる砂の壁、砂丘列の通称)正面からふもとに降りた辺りで発見したそうです。
最初は缶の一部が見えているだけで、ゴミだと思って引き抜いたところ、見たことのないデザインのファンタだったことから写真を撮影。現在この缶は、他の珍しい発見物とともに一緒に保管してあるとのことです。
ちなみに以前、ファンタに関しては昔の瓶が出てきたこともあったのだとか。砂丘でこうした年代物はよく見つかるのかという疑問については、「土器や寛永通宝(江戸時代の銭貨)」から、「かつて陸軍の演習場だったこともあり銃弾なんかも出てくる」との回答が。
空き缶は、海洋ゴミとして漂着したものが、強風で砂丘に入り込むことがあるため時々見つかるとのこと。古いモノに限らなければ、特に冬の海からの季節風や台風の後などは、砂の下から空き缶以外にもさまざまなものが見つかるそうです。
鳥取砂丘では、美しい自然を守るため1980年から春と秋の年2回、一斉清掃を実施しています。過去のゴミの量を見ると、昭和の間はゴミの収集量は1回につき約10〜20トン。その後徐々に減少していき、1998年ごろからは3トン以下に。現在では、可燃物・不燃物合わせて2トン前後のゴミが出ていることが報告されています。
今回タイムカプセルのような形で見つかった“珍しい空き缶”ですが、鳥取砂丘では県の条例や自然公園のルールに基づき、ゴミを捨てることはもちろん、砂丘への落書きや穴を掘ったりすることも禁止しています。ゴミの投棄および掘り起こしなどの行為は絶対にやめましょう。
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