第79期名人戦・順位戦A級は26日の最終一斉対局にて全対局が終了した。
斎藤慎太郎八段(27)が最終戦も勝利し、通算8勝1敗で挑戦権を獲得した。
B級1組への降級は三浦弘行九段(47)と稲葉陽八段(32)となる。
最終一斉対局
最も早く終わったのは糸谷哲郎八段(32)と稲葉八段の一戦だった。
稲葉八段が今期の不振を表すような不出来な内容で、糸谷八段が20時台という早い時間に快勝した。
最終戦を迎えて、挑戦権争いは1敗の斎藤八段と2敗の広瀬章人八段(34)にしぼられていた。
しかし広瀬八段は豊島将之竜王(30)に完敗。こちらも21時台と糸谷-稲葉戦に続く早さでの終局となった。
矢倉の戦いに進み穴熊に組み換えた広瀬八段だったが、豊島竜王の攻撃を一方的に受ける展開となり、力が出ないまま押し切られてしまった。
この段階で斎藤八段の挑戦権獲得が決まった。
その後、羽生善治九段(50)、菅井竜也八段(28)が勝ち名乗りをあげ、最後に残ったのは佐藤天彦九段(33)と斎藤八段の一戦だった。
斎藤八段が中盤でリードを奪うも、佐藤(天)九段が粘りに粘って長手数の熱戦に。
最後は斎藤八段が振り切って勝利し、挑戦権獲得に花を添えた。
第79期A級順位戦、全成績は以下の通り。
斎藤八段の戦いぶり
ここで今期の斎藤八段の全成績をみてみよう。
初戦から連勝を伸ばし、5回戦で豊島竜王に敗れたが、その後も白星を重ねて8勝1敗という抜群の成績で終えた。
キーとなったのは初戦の糸谷八段との一戦だ。際どい終盤を競り勝ったことで勢いに乗った。
2回戦の広瀬八段戦や最終戦の佐藤(天)九段戦など、中盤でリードして逃げ切る強い内容が目立った。
デビューから順位戦で抜群の成績を残している斎藤八段は、持ち時間の長い順位戦でその本領が発揮されるようだ。
A級1年目ながら堂々とした戦いぶりで見事な成績をあげた。
名人戦七番勝負、そして第80期へ
名人戦七番勝負は渡辺明名人(36)に斎藤八段が挑む形になった。これまでの対戦成績は2勝2敗と、トップ棋士同士にしては対戦数が少ない。
新鮮味あふれる戦いとなりそうだ。
順位戦ではリードを奪う展開の多かった斎藤八段だが、作戦巧者の渡辺名人は簡単にはそれを許さないだろう。
終盤の競り合いの多い、見応えある戦いが予想される。
名人戦七番勝負は4月7・8日(水・木)に東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で開幕する。
どんな戦いになるのか、非常に楽しみである。
そして、昨年とは違って無事に開幕されることを祈りたい。
第79期A級順位戦は全日程を終えて、来期の順位が決定した。
挑戦権を争った豊島竜王と広瀬八段が2・3位に入り、名人戦敗退者と共に再び挑戦権を争うことになりそうだ。
一時は残留争いに加わりながら、ラスト2戦を連勝して勝ち越しを決めた糸谷八段(4位)・菅井竜也八段(5位)も来期は上を目指したい。
ファンの注目は8位に入る羽生九段だろう。
この「順位8位」はA級では嫌なポジションで、降級する人が多いことで知られる。
今期も「順位8位」の稲葉八段が降級の憂き目にあった。
ただ、これまでも過去の常識を覆し、タイトル獲得通算99期を数える羽生九段だ。ズルズルいくとは思えない。
ファンは名人戦の舞台で再び輝く羽生九段の姿を待ちわびている。
4月から始まる名人戦七番勝負、そして来期のA級順位戦もいまから楽しみである。
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