道頓堀の船上で創作舞踊『迦具土之舞(かぐつちのまい)』(『SOU~創~』より 作:長田育恵)を披露した市川海老蔵(11月3日・大阪市内)
新型コロナウイルスで打撃を受けた、上方の伝統芸能の復活を祈願する『日本の劇場文化 復活祈願祭』が、歌舞伎俳優・市川海老蔵の呼びかけで実現。11月3日に道頓堀の船上で、創作舞踊『迦具土之舞(かぐつちのまい)』(『SOU~創~』より 作:長田育恵)を海老蔵が披露した。
事前の会見では、この演目を選んだ理由について「迦具土は火の神なので、復活祈願に火を付ける意味を込めた」と語った海老蔵。海老蔵演じる須佐之男命(すさのおのみこと)が、火の神の力を得て悪神退治をするという舞を、ダイナミックに演じてみせた。
さらに口上では、「みなさま方もコロナ禍のなか、大変な思いで日々をお過ごしになられていると思います。我々伝統文化にたずさわる者も、大変な苦労のなかで、日々舞台を勤めています」と現状を説明。
その上で、「伝統文化、さらに日本の劇場文化を愛していただき、エンタテインメントの火がさらに盛り上がりますよう、お力添えのほど、よろしくお願い申し上げる次第でござりまする」と、力強く呼びかけた。
また別の船からは、能楽の大槻文蔵、文楽の桐竹勘十郎、日本舞踊上方舞の山村友五郎、落語家の桂福団治・米團治と、上方の伝統芸能を代表する人々があいさつ。
海老蔵のアドバイスで、上方歌舞伎の名跡を80年ぶりに襲名した三代目市川右團次も「この道頓堀は昔『道頓堀五座』と申しまして、各劇場が軒を連ねた所。このイベントをもって、これから大阪で文化が、芸術が発展していくことを祈っています」と、大阪愛にあふれたコメントをした。
式典には、海老蔵の長女・市川ぼたんと、長男の堀越勸玄も出席。最後にしっかりとあいさつをした際には、河岸に集まった観客たちから大きな拍手が送られた。
取材・文・写真/吉永美和子
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