とうとう『アメトーーク!』で特集されるまでに至った「大宮セブン」。2014年、その立ち上げから「大宮セブン」メンバーとして活動してきたのが2020年『M-1グランプリ』王者、マヂカルラブリー。「大宮セブン」って結局なんなんですか? なぜ賞レース激強軍団なんですか? 「マジでクソつまんなかった」場から、なぜ王者は生まれたんでしょう? 【画像】ひとめでわかる「大宮セブン」解説。「大宮セブンV」時代が気になる!
大宮はもうひとつの故郷
──『M-1グランプリ』優勝後、かなり忙しい日々を過ごされていると思いますが、そんななかで先日「オートバックス大宮バイパス店」の配信ライブに半日で計8回出演されていたのには驚きました。 野田 そりゃもう、故郷ですから。 村上 大宮には感謝の気持ちがありますから。あの日はお世話になってるオートバックスの店長含め、大宮の皆さんが観に来てくださったり、お花をくださったりして。 野田 俺の知らない夜の部の人からも来てたね。 ──夜の部。 村上 よく飲んでいた大宮の方々ですね。ライブのあと、初代の支配人と一緒に飲みに行ったらそこに大宮の有力者がいるという状況が月3~5回ありまして、僕らはそれを「夜の部」と呼んでたんですよ。よく言えば外交ですよね。昔からコンビの外交は僕が担当なので。ただ酒を飲むのが好きなので自然とそうなっただけですけど。大宮ラクーンよしもと劇場はとにかく地域密着型の劇場ですからね。 ■「終わってた」状態からの大宮入り ──マヂカルラブリーさんが『M-1グランプリ』で優勝を果たしたことで、大宮セブンがますます注目を集めていますね。 野田 大宮セブンって、もともと実力あるメンバーしかいないんですよ。それが今になってこれだけ騒がれるってことは、吉本はダークホースだらけだなって改めて思います。吉本の気づかせる力不足とも言えますよね。だって、これだけこぞって賞レースを勝ち上がる奴らを都落ちさせてるわけですから。 村上 まあ、こんな状況に追い込まれたからこそ力を発揮できた、っていう考え方もあるけどね? ある程度お金をもらいながらルミネ(theよしもと)に出つづけられてたら、ここまで全員ブチギレて覚醒したかはわからないから……。 ──少し遡って伺いたいのですが、2014年11月に「大宮セブン」が誕生したとき、マヂカルラブリーさんはコンビとしてどんな状態で、大宮所属となったことをどう思っていましたか? 野田 いやもう終わってましたよ、あのときは。終わりかけの芸人一歩手前か、ちょっと足踏み込んでるくらいの状態にはなってましたね。「仕事がない」と「仕事が来そうにない」。そのふたつがそろうと、芸人はだいたい終わるんすよ。で、僕ら当時、まさにその状況になってきてた。だから大宮に入ったときは、うれしかったっすねえ。 ──仕事があることが? 野田 そう。バイトしなくてすむ状態にはなったんで。 ──2014年というと、『M-1グランプリ』がなくて、代わりに『THE MANZAI』が漫才の賞レースとして年末にあった時期(2011~2014)ですね。 村上 僕ら『THE MANZAI』のあった4年間で、最初の2年は認定漫才師(予選を勝ち残った上位50組に与えられる称号)だったんですけど、2013、14は2年連続でなれなかったんですよ。 野田 その代わり、コントの調子がちょっとよかったんだよね。ラップバトルのネタができたときに……。 村上 2013年ね。 野田 そのとき、「なんて楽な笑いの取り方なんだ」って思ったんですよ。 ──漫才に比べて、ということですか? 野田 うん。やってて「うわ、楽だなー」って思ってましたね。 ──それは、「コントは本業ではない」という感覚があったという意味でしょうか? 村上 それはあった気がするな。 野田 まあ、コント自体はやってたんですよ、ずっと。単独ライブはコント中心だったんで。だからコントをメインにしてもよかったんですけど、漫才は結成直後からいいところまで行ってたのに比べて、コントで勝てたことはなかった。でもラップバトルのネタが『キングオブコント』の準決勝でウケたとき「なんか無理してないな」って思えたんです。『THE MANZAI』のころの漫才はめちゃくちゃ無理してた感じがあったし、俺も楽しくなかったんですよ、ずっと。だから「もうこっち(コント)でいいんじゃないか」とも思いました。 ■モダンタイムスには見せられない ─大宮セブンに所属し始めた時期のご自分たちについて、村上さんはどんな認識ですか? 村上 僕自身のことで言えば、それまでまとっていた国語教師のようなキャラがだんだん抜けてきてた時期だったので、やりやすくはなっていたんですよ。(野田さんに)ほら、そのころからあんまりさぁ、野田の、うーん、なんていうんだろう。僕にちょっかいかけてくるみたいなの。 野田 小手先。俺は小手先って呼んでる。 村上 小手先。それが、だんだんなくなってきてるころじゃないですかね。 野田 ああ。そのちょっと前に、むしろ小手先だけになった年もあったからね。 村上 だけ(笑)。そうだね。 野田 うん。一度、小手先のみでやっちゃったことがあるんすよ。ネタに本筋がなくて、キャラとしてやれる部分……たとえば急に変なこと言い出すとか、村上に絡むとかの部分だけのネタを『THE MANZAI』に持ち込んで、予選で落ちた。そのときに、マジで楽しくねえなって。ていうか「これはネタじゃない、俺はネタを作ってない」って思ってました。 村上 確かに苛立ちというか、もやもやを抱えてんのかなあ、って感じた時期はありましたね。 野田 だからさっき言ったように、「もしかして漫才じゃなくてもいいのかな」って。 ──「小手先」だけのネタを作ったのは、そこがウケたからですか? 村上 そのころ出てた無限大ホールに合わせてたのかもしれないね。 野田 うん、そうだね。無限大のお客さんに寄せてたし、そこでは反応があったし。 村上 意識はしてないけど、若い女の子にウケるようなネタになってたのかもしれないです。 野田 たぶんランキングバトルで負けないようなネタを追求した結果、そうなったんですよね。俺はそのころのネタは正直、モダンタイムスとか地下の芸人たちには見せらんないな、っていう意識でした。 ──野田さんは、常に10代のころ師匠と慕っていたモダンタイムスさんの目を意識しているんですか? 野田 モダンっていうか、みんな。地下の人たちみんながどう思うかなっていうのは考えてましたね。
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